2018年9月29日14:00 2階会議室にて
現在のパートナーズを創りあげた初代会長、二代目会長と現会長、教頭先生に、パートナーズについてざっくばらんに語りあってもらった。
まずは、なぜ、パートナーズを創ったのか教えてください。ほかの学校のPTAとは異なる、独特のものですね。
娘が入学する前に、学校からアンケートが配られ、PTAに参加するかどうかをきかれたのですが、「参加しない」と答えた保護者ばかりで、「どちらでもよい」と答えた保護者はたった10人しかいませんでした。その10人でPTA設立準備委員会をつくり、話し合った結論は、「PTAはいらない」ということ。神奈総のような画期的な学校に、既存のPTA組織は不要だというのが理由でした。
ところがそれを学校側に伝えると、PTA設立を強く求められました。なぜかとうかがうと「保護者の協力がないと、学校運営上の様々なところで支障が出る」とのこと。そこで、希望に満ちて入学してくるこどもたちのために、この10人でまずはPTAを設立しました。
でも、保護者は既存のPTAを望んでいません。そこで、まず、昭和23年からの古い規約を見直し、不要なものをなくし、不備のあるものはみなさんが運営しやすいように変えていきました。一番画期的だったのは、お金のことでした。こどもたちの援助のため、保護者の活動のためのお金を、そのときどきの必要性に応じてフレキシブルに使えるようにし、自由度を高めたのです。そして、呼び名もパートナーズと変更しました。生徒のために、学校と保護者が協力していこうという意味をこめて。
パートナーズを生みだした、その10人のメンバーの発想と行動力がすごいと思うのですが、どんな人たちだったのですか。
今までPTAに関わった経験がなく、既存のPTAを知らない人ばかりでした。そのため、こうやったらおもしろいんじゃないかと、型にとらわれない、理想の形を追求していくことができたのです。
いろいろとご苦労があったのではないですか。
それはもちろん、ありましたよ。ベンチひとつ作るのにも、学校を使ってはいけないとかね。今日はこうやってお話ししていますが、この会議室の使用もだめだった。そういう学校側の古い体質を変えていくのが大変でした。
そして、なんといっても神奈総独特なのが、保護者の部活動ともいえるボランティアファミリーですね。これはなぜ生まれたのでしょう。
これまで通りのPTA活動だけでは、その役員や委員しか活動せず、保護者が学校に来ないんですね。そこで、保護者がもっと主体的に学校に来て、喜んで参加するような活動の場が必要だと考えたのです。なんでもいいからすきなことをやろうと。
まずはベンチな人達から始まりましたね。
最初は空き時間に生徒たちが座るところもありませんでしたからね。
今は11団体あります。
なくなったファミリーもあります。時代に応じて、新しいファミリーをつくっていくのがよいと思いますね。我々が考えたのが、とにかく、既存のPTAの「やらされてる感」をなくそうということ。活動が義務的で負担になると、保護者が学校に来なくなる。そうなると、活動が停滞しますから、やっぱりやる以上は、楽しくないとだめなんです。楽しいから保護者が学校へ来るようになり、活動が活発になって、それが生徒のためになる。
それから、キャッチフレーズですね。「そーだ。学校へ行こう。」あれを一年目からつくったのも、大きかったと思いますね。ボランティアバンクといって、学校のために自分が貢献できることを保護者が登録しておく制度も独特ですし。お金をかけないで、保護者たちの力で学校を盛り上げていこうというのが神奈総ならではです。
総会も変えましたね。最初はほかの学校同様に委任状を集めていて、総会ってなんのためにやってるんだろう?と思ったんです。それで、これもやっぱりこどもたちのためだよな、と気づきました。こどもたちのためにお金を集めて、それがどのように使われるかを話し合い承認するのですから、お金を出す保護者たちに、こどもたちはどのように成長したのかを見てもらおうと思ったのです。呼び名も総会フェスティバルにして、ダンスやコーラスなど生徒の成長を発表する場にしました。こどもを見るために保護者が集まって盛り上がりました。
最近では、PTA は任意ですか強制ですかという話が出てきています。今年度からパートナーズ団体への登録は任意であることを規約に載せましたが、いろいろと課題があります。
参加したくなるような活動で保護者をひきつけていくことをすすめていくべきでしょう。パートナーズの活動は生徒、学校のためですが、保護者のためという側面もあります。保護者が自分自身をそこで表現することによって、生徒のため、学校のためになるところにつながっていくという位置づけを維持していくことが大事ですね。
それから、卒業生の保護者の集まりであるフレンズ倶楽部。これも独特ですね。
お隣の神奈川工業高校は百年以上の歴史があり、卒業生たちが金銭的にも学校を応援しています。でも、神奈総は新設校ですから、卒業生たちが寄付をして生徒の活動を支えることができない。だから、何かあったときに金銭的にも精神的にも生徒を応援できる仕組みを作ろうと考えたんです。独特な学校ですから、卒業後の進路などの不安にも、卒業生の保護者たちならこたえてくれる。神奈総の応援団となってくれる存在なのです。以前は生徒たちとクリーンキャンペーンなどの活動もしました。卒業生の保護者の力もどんどん借りてほしいですね。
教頭先生は今年度来られましたが、パートナーズを知ってどう思われましたか。
こどもと同じ空間で、保護者同士がクラスや学年を越えて交流できるというのは、貴重で、神奈総ならではで、いいなと思います。土曜日にたくさんの保護者が来るので、最初はびっくりしましたけれど、このまま事故もなく回っていくようであれば、学校としても応援してくれる人が増えるというふうに思えますね。学校に来ていただければ、それだけ学校の情報が入りますので、そのぶん生徒への理解にもつながるし、学校はこんなふうにやっているんだということを知ってもらえるので、いいですね。
学校に来ることで、自分のこども以外の生徒を見られたり、ほかの保護者と話ができたりして、自分のこどもを多面的に見ることができるようになることも。やっぱり、学校に来ることの意味がすごくあると思います。
保護者によく話したのは、「こどもに関われるのは高校生までで、これが最後。学校に関わって、こどもの成長を見てほしい」ということでした。とにかく保護者が学校に足を運ぶ仕組みを作ったわけです。それが今も続いていて、嬉しいです。
まさに、「そーだ。学校へ行こう。」ですね。今日はみなさん、本当にありがとうございました。